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雲散霧消

モバマスやグラブル、その他漫画やアニメ、音楽など趣味について備忘録的な意味も込めて書いていきます。

【漫画】ニセコイはどこからおかしくなったのか

漫画

ニセコイと言えば、アニメ化もされた週刊少年ジャンプのビッグなラブコメタイトルです。今どき珍しいぐらいの王道ラブコメディ漫画として人気を博し、2015年にはあの「いちご100%」を抜いてジャンプのラブコメ漫画としては最長の連載漫画となりました。

そのニセコイが最近のある展開で叩かれたのは記憶に新しいと思います。そのきっかけが、ヒロインの一人であった橘万里花が親の言いつけで結婚させられそうになり、その結婚式をブチ壊すために万里花の本心を引き出そうと主人公・一条楽が言い放ったこの一言。この橘万里花というキャラはずっと楽に猛アタックを仕掛けており、楽はラブコメ主人公特有の優柔不断さでその求愛をかわし続けていたことを念頭に置いた上でお読みください。

「確かに俺はお前の気持ちに答えられない」
「でもだからって困ってるお前を見過ごせねえし黙って見てらんねえ」
「お前が助けて欲しいなら助けてやりてえんだ友達だから」
「そう友達だ…それが俺の答えなんだ…」
「今もこれからもずっとお前は大切な友達だ」
「だから橘」
「オレにお前を助けさせちゃくれねぇか」

 何を言っているんだお前は。

この橘万里花というキャラは元々病弱であり、親から初恋の人である主人公を落とすための猶予をもらって主人公の学校に転校してきていました。で、主人公がずっと万里花の気持ちに応えないでいたので結婚式を執り行いますと。そこで上の台詞です。

確かにラブコメ漫画としてこれはどうなんだという展開です。この後なんやかんやあって結局この万里花は主人公のことを諦め、恋愛レースから脱落します。そのあたりの話も中々に中々なのですが、今回は割愛。この一連の流れとそれに対するニセコイ叩きの反応を見て僕はこう思いました。

「今更じゃね?」

ニセコイという漫画はとうの昔からちゃんとした恋愛模様を見る漫画から、ただサザエさん時空で主人公に惚れてるヒロインが繰り広げるドタバタ展開からヒロインの可愛さを見るだけの漫画に変わっていたと思うのです。むしろあいだの展開には大きな大きな難こそあれど、万里花を退場させて物語を動かしたという意味ではようやくか、という感すらあります。

では、王道of王道の展開で読者を惹きつけ、パジャマな彼女恋染紅葉あねどきっ!鏡の国の針栖川といった他のラブコメ漫画を押しのけて人気を独占したニセコイが、一体どこからおかしくなっていったのかを考えていきたいと思います。

 

●キムチでもいい?

見返してみればわずか5巻での出来事です。意外とはやい。

メインヒロインの1人、小野寺小咲がいい感じの雰囲気に飲まれて主人公に「キスしてもいい?」と聞く場面を同じくメインヒロインの桐崎千棘が目撃してしまうところです。大きく話が動きそうな場面なのですが、主人公はこの言葉を寝落ちして聞き逃し、千棘は「キムチでもいい?」と言ったと勘違いをしてしまいます。

主人公は小野寺のことが好きである以上、この台詞をちゃんと聞いてしまったら話が終わっちゃいますし、この際あまりにも無茶苦茶な聞き間違いについてもツッコミどころの1つぐらいで済ませましょう。

このエピソードでまずかったのは、週刊連載で、内気な小野寺がふと漏らした「キスしてもいい・・・?」という大胆な発言をヒキにして読者を1週間やきもきさせた後、その次の週ではあまりにも下らないオチを用意した挙句、いきなり楽と千棘の喧嘩とかいう展開にしてしまった点ではないでしょうか。

小野寺の気持ちが少しでも伝わって恋模様が変わるのか――!と見せかけて、あまりにもズッコケなオチと何も変わらない関係性。そして小野寺の話はサラーッと流されて始まる千棘の話。小野寺派からしたら何なんだと思っても仕方ないかもしれません。

その千棘の喧嘩の話はしばらく続きます。ここでの展開が、またマズかった。楽と小野寺がメインで「ロミオとジュリエット」を文化祭で演じることになるのですが、本番で小野寺が怪我をしてしまい、千棘が代役として演じてなんやかんやあって仲直りするのです。

あれ?ひょっとして小野寺、かませ犬か?

大事な告白シーンを下らないオチで流された上に、その熱も冷めやらぬ内から始まる小野寺を無視した物語。ここの話は千棘が主人公への恋心を自覚する大事な話なんですよーというのは分かりますが、ちょーっと小野寺を軽視しすぎではないですかね?

もちろん、作者側もこの一連の流れで小野寺を恋愛レースで軽視しすぎたかな?と思ったのか、ちょっとした救済はあります。3ページ分。

 

●小野寺妹

恋愛物の漫画、アニメ、ゲームの主人公は大抵2年生です。受験などの恋愛から外れる大きなイベントが少ないというのもあるのでしょうが、一番大きいのは先輩キャラも後輩キャラも出せるというポイントでしょう。

そして、ニセコイのキャラ達も2年生になり、テコ入れ後輩キャラが登場します。それが小野寺小咲の妹、小野寺春です。

この子は、姉とは対照的に気の強い性格ですが、根は真面目。最初は楽のことを嫌っており、乱暴な扱いをしていましたが、楽の人となりに触れていくうちにだんだんと惹かれていきます。

千棘とキャラが被ってません?

妹キャラ、後輩キャラという違いこそあれど、基本的には千棘の焼き直しに見えてしまいます。先ほどの紹介文の「姉とは対照的に」の部分を抜いたらそのまま千棘の紹介文に使えそうです。

主人公のことを最初に嫌いだったキャラが、なんやかんやあって主人公への恋心を自覚し始めるなんて展開は王道中の王道で何回も見たことのあるものですが、さすがに同じ漫画の中で同じような性格の子と同じような流れをやってしまうのはどうなのでしょうか。

もっとも、春ちゃんの魅力は姉の気持ちと楽の気持ち、そして自分の気持ちの間で揺れるあたりだと思うので、千棘とは完全に別キャラです。ですが、そこに持って行くまでの間に当初楽のことを嫌いだった女の子が好きになるまで、という今までの9巻分の話をもう1回やってしまい、結局はニセコイのマンネリ感を助長させてしまっただけではないかと思います。

 

●羽姉

延々と各ヒロインにちょっとしたスポットを当てつつ進むような進まないような話を続けていたニセコイがついに大型爆弾を投下します。そう、読者の大半が半分忘れていたであろう鍵だの思い出の女の子だのの設定を背負った4人目の女の子の登場です。キャラもおっとり甘やかせ系お姉ちゃん。ニセコイにはいなかったタイプです。

 チャイニーズマフィアのドン。先生。主人公と同棲。ニセコイらしい設定です。そして、年上キャラらしく意味深な発言もしていきます。

>「楽ちゃんはその約束の相手が誰か分かったらその人のことを好きになるの?」

正論です。これは良い。あぁ、やっとこういうことを言ってくれるキャラがちゃんと現れたんだな。遅れてきた4人目のヒロインとして、堂々の貫禄です。

>「私 楽ちゃんが好きなの」「お姉さん負けないんだから!」

千棘(と偶然聞いた小野寺)に楽が好きだと言い宣戦布告します。良いぞ!薄まりきったぬるま湯を引っ掻き回してようやく話が進むのか!

>文化祭編

あ、あれ?普段のニセコイに戻ったような・・・いや、小野寺妹が恋愛レースから脱落したし、あくまでまだ準備編だから・・・

>千棘入れ替わり編

あっ、これ駄目だ・・・いつものニセコイだ・・・

 羽姉の登場自体がマズかったのではなく、あまりにも遅い。更に結局話は中々進まず、鍵の話もうやむやになって賑わせ要員が一人増えただけになってしまいました。結局羽姉とは一体なんだったのか、僕にはいまだに分かりません。

 

●親友宣言

 急に転校することになった千棘。本人の望まないこの転校が強制的に進められていってしまいます。その途中で友人から千棘のことが好きになっているんじゃないかという問いを投げかけられます。そして、なんやかんやあって転校を阻止した楽がなぜ自分は千棘のためにこんなに頑張れたのか考えて出した結論がこちらです。

「今回のことでわかったんだ」「オレがお前のことを親友だと思ってるって事が」

しん‐ゆう〔‐イウ〕【親友】

互いに心を許し合っている友。特に親しい友。「無二の―」(goo!辞書より)

 これを千棘に話す時のドヤ顔がまた腹が立つんですよ。お前今更それか?散々千棘にドキッとする展開挟んでおいてこれか?本気で言っているのか?いや、本気で言わせているのか?

ちなみにこれ、19巻での出来事です。19巻といえば、いちご100%はもう最終巻です。真中くんが西野を選び、自らの夢を見つけ出し、それに向かっていくようになるのと同じ時間をかけて、親友宣言。お前ええかげんにせえよ。

僕はニセコイのことをずっと信じてきていました。なんだかんだでニセコイはちゃんとしたラブコメを大きな流れではやってくれるはずなんだ・・・!と信じていました。しかし、ここで完全に心が折れました。

 

この4つがニセコイの大きな転換点だったのではないかと思います。ちなみに、この間ではダラーッとした王道ラブコメ話がダラダラ続きます。転換点としてこれらはあれど、ただ単にいつまでも進まないラブコメ話に飽きてしまっただけ、というのが一番大きいかもしれませんね。